Evernoteの誤った使い方 InboxゼロはEvernoteの本来の使い方ではない

僕はどうもEvernoteを使いこなせていません。かつ、使いこなせている人に対して、なにかを物申すつもりはありません。

ただ、GTDの原典にあたって考えると、広く言われているEvernoteの使い方は、間違っているのではないか、と思うようになりました。

特に、ここで取り上げたいのは、命題

IN-BOXをゼロにするように整理する

です。

原則として位置づけられていることがあるのですが、これに対して、少し批判を加えてみたいと思います。

もちろん、これでうまく行っている人はいいのです。

僕みたいにうまく行かない人もいて、それが本来のEvernoteの使い方とは異なるからではないか、と思ったことをかくまでです。

Evernoteのトップページには、以下のようなタグラインと説明があります。

ノートを、自分らしく、整理する。

どこでもノートを作成し、いつでも簡単に情報を見つけ、誰とでもアイデアを共有する。議事録、Web ページ、プロジェクト、ToDo リスト—Evernote ならどんな情報も記録できます。

GTDでいうところのINBOXは、収集のステップで用いる一時的な受け皿のことをいっています。

これらの「解決していないこと」をうまく管理していくには、一旦それらをすべて一時的な受け皿に保管しておこう。GTDではその受け皿を「inbox」と呼ぶことにする。

--- ストレスフリーの整理術 p.47

EvernoteのInboxフォルダをGTDのInboxとして定義する場合、Evernoteを収集先とすることになります。

しかし、Evernoteクリッパーや、iPhoneアプリで、Evernoteに入れるものは、資料そのものであり、リマインダやタスクではありません

例えば、クリッピングしたウェブページのタイトルは、そのウェブページのタイトルです。なにか自分がしなければならないことそのものではないのです。

仮に、旅行のブログをクリッピングして、現地の情報が書かれているノートが作れたとしても、自分がするべきなのは、「その場所に行くかどうか決める」、だったり、「その場所に行く際に必要な持ち物・服装を揃える」なのです。

Evernoteクリッピングのタイトルに、そんな名前はつけません

処理のステップで、これは何か、と自問しますが、その答えはEvernoteのツールに記録されません

これが一番大事なポイントです。

次に、Inboxを処理するときには、ノートの移動と、その、ものに名前をつける作業がメインです。なので、編集機能が強力でなければいけません。

しかし、Evernoteはリマインダやタスクをノート一件とした場合、重すぎます

Evernoteのエディタの起動はパッとノートを切り替えながら使うという用途には適してません。

GTDは、タスクの実行密度を上げ、ストレスなく効率を上げるのが目的です。

重いツールを使ってストレス溜めて、効率を下げてどうするのでしょう。

これが二番目に大事なことです、

斧で紙を切ったり、カッターで薪を割ることはしません。Evernoteは、優秀なクラウド型ノートなので、検索を有効活用すべきなのです。

GTDでは、行動のリマインダーとは区別して、「プロジェクトの参考情報」を定義しています。それに、行動を取る必要のない情報は、資料の類と、潜在的に行動する可能性のあるものに分類すること、としています。

行動を起こす必要のないものは、大きく2つのカテゴリーに分かれる。資料の類と、今は行動する必要はなくても潜在的に行動する可能性があるものだ。

--- 同 p.178

Evernoteは、やはり、GTDで言うところの、以下の目的に限定するべきだと思います

* 資料 * プロジェクトの参考情報 * 備忘録ファイル

資料は、Evernoteに入れたら、あとは検索が簡単になるようにする程度でよいでしょう。むしろ、資料を整理しない、と決めて時間を節約したほうがいいと思います。とはいえ、スクロールすると、気が散る程にいろんな情報があるというのも困るという場合には、大量でノイズになるような情報をノートブック化してあげるといいと思います。(大事な情報を一つのノートにするのではなく、普段は必要のない大量の情報を別のノートブックに避けておくイメージ)

プロジェクトの参考情報も、ノートブックにしておく必要はないですが、タグをつけておくぐらいはしてもいいかもしれません。 プロジェクトの進行に伴って収集した情報であったら、Evernoteに入れた都度、Nozbeでプロジェクトに紐つけて置くのがいいと思います。 プロジェクトが終わったら、ノートブックのくくりは不要となります。

備忘録ファイルは、Evernoteのリマインダー機能を用いて実現するのが最適です。

「備忘録ファイル」とは要するに、紙などの実体のあるリマインダーを、将来の特定の日のInboxに”自動的”に入れてしまうシンプルなファイルシステムである。

新商品の発売日、誕生日プレゼントのアイデアセミナーや、カンファレンス、講演、文化的行事などのある時期が来たら行くかどうか決めたいものは、EvernoteにそのメールやWebページのクリップを保管しておき、その時期の日付をリマインダーとして設定しておくと、EvernoteのリマインダーとNozbeが連携し、自動的にPriorityタスクに入ることになります。特に、決断が必要なタイプのイベントごとの場合、決断を先送るけれど、適切な時期には決断しなければならない、その時期を指定してリマインダーを設定しておくと、それまで忘れておくことができるのは、実に便利です。

以上から、Evernoteのノートブックと、タグ、リマインダー機能は、以下のように位置づけることになります。

  1. ノートブックは、一般資料と、特定(専門)資料、重要情報に分ける。特定資料は、数が多く、一般資料の目障りになるようなものをくくりだすために使う。例えば、ウェブクリッピングや、メールマガジン、ホワイトボードをカメラでとったもの、などをそれぞれのノートブックとする。重要情報は銀行の口座番号とか、住所録など。それ以外はすべて一般資料とする。特定(専門)資料、重要情報は、分けておくことは問題ないが、一般資料を目的別で分けるということはしない。

1. タグは、プロジェクト名を指定する目的で使う。登録したときにタグをつける必要はない。検索をもう一度することがあるな、と思ったときに、一回の検索で同時に出てほしいノートがあったらつける、ぐらいでちょうどいい。おおよそ、Nozbeのプロジェクト名とするのがよさそう。

  1. リマインダー機能は、後日検討してみたい、が今はその時期ではないノートに対して付加する。何らかのプロジェクトの開始日、イベントの参加回答日などがそれに相当するので、それをEvernoteのリマインダー機能を用いて設定しておく。

今後は、このような方針でEvernoteを使っていこうと思います。