分数の教育方法について論文を調べてみた

理系の大学を出て、親業をしているわけだが、算数の帯分数というものに少々戸惑うところがある。帯分数って、他の業界では知らないが、工学とか理学分野では使うことがほとんどなかった。大学卒業後のビジネスの世界でも、帯分数を使ったことがほとんどない。もしかしたら、医療分野とか、投資の世界とか、自分の知らない世界では使われているのかもしれない。

帯分数って、こんなにも使われないのに、教えるのって、日本だけなんじゃないだろうか。

素朴な疑問を感じたので、こんな時は、きっと偉い学者さんが調べているだろうということで、論文検索をしてみた。

Comparing the Development of Fractions in the Fifth‐ and Sixth‐Graders' Textbooks of Singapore, Taiwan, and the USA School Science and Mathematics 2010 Vol: 110 (3):118-127.

この論文は、シンガポールと台湾、アメリカのメジャーな教科書(小学5年生と6年生)を比較したもの。シンガポールでメジャーな算数の教科書は、”My Pals Are Here! Maths”。台湾でのそれは、”Kung Hsung”(漢字でどう書くかはわからない)。アメリカのは”Mathematics in Context”。論文そのものの結論は要するに、アメリカの教科書は、文章題(Context problem)が96%と、ダントツに多く、シンガポールは48%、台湾は55%という明らかな違いがあるね、ということ。

この論文では、同時に、シンガポールの5年生の教科書の例題を取り上げている。帯分数がしっかり登場してきており、かつ通分が必要な問題だ。

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The Example taught at fifth grade in MPHM of Singapore (Fong, Ramakrishnan, & Gan, 2005a, 2005b)

確かにこういった、日常的な容器と量の問題を表すには、帯分数は使いやすい。

しかし、帯分数の記法は、2×aを、2aと乗法記号を省略して書く記法が始まると、帯分数の 2 1/2 を、2 × 1/2 と間違えてしまうかもしれない。もっと言えば、帯分数に変数を使うことが出来ず、 3 1/aとか、3 b/2 、c 1/4 などという記法は、僕の知る限り存在せず、通常、3 + 1/aとか、3 + b/2 とか、c + 1/4 と書くしかない。少数点でもつければいいのかとおもうが、小数点は乗法の記号の・と似ているので、紛らわしくなってしまう。

24進法とか60進法の時刻を示すときなど、何進法かを明確に示すため、1 3/24 日と表現したり、3 15/60 時間、もっといえば、3 15/60 45/3600 時間(3時間15分45秒)と表現したりするのは便利だと思う。