暗黙の社内ルールとしての会議

 前回、社内ルールとしてのメールを取り上げた。前回必ずしもきちんと伝えきれた自信はないものの、ルールを作ることで生産性が下がるのではなく、ルールを明確に定義しないことによって、生産性を向上する道をふさいでいるということを示したつもりだ。

今回は、暗黙の社内ルールとしての会議を取り上げたいと思うのだけど、これもやはりルールを明確に定義しないことによって、生産性向上をふさいでいるということが言えると思う。

自分の会社での会議を思い出してほしい。ルールが明文化されているかどうかはさておき、どんな決まり事があるだろうか。

  1. 会議では議事録を取らなくてはいけない。若手がその役目を負う。
  2. 会議では意思決定をする人が参加しなければならない。
  3. 会議室は、事前に予約しなければならない。

これらは、社内ルールとして明文化されているかもしれないし、されていないかもしれない。しかし、これらのルールは会議の本質をきちんととらえたものかどうか、という観点で検証するためには、まず明文化されている必要があるということは、前回の社内メールと同様の議論である。

これらのルールが適切かどうか、ということだが、例の1番の議事録を作らなくてはいけないならないのは、当然というようなものでもない。会議を録音しておいてもいいし、チャットツールで公開すると同時に記録としてもいい。だから、ルールとしておくのは記録を残すべきということなのであって、議事録というツールを決めるべきではない。議事録というツールを決めたとたんに、議事録フォーマットが乱立し、統一しようだとか、使いやすいのがこちらだとか、標準化はどうすべきだとか、そんなことに議論の時間が取られる。フォーマットの標準化が必要なら、標準化したルールをきめておいて、これ以外のフォーマットを使ってはならないというところまでルールにするべきである。

そうすると、正しいルールの書きっぷりは、次のようなものとなる。

  1. 会議の記録が次の形式で作成されなければならない。(1)会議の開始日付・時刻、(2)参加者一覧、(3)各参加者の参加手段(会議場所)、(4)討議論点、(5)結論、(6)議事録の作成者、(7)秘密区分、(8)会議で使用された資料一覧、が実態として記載されていなければならない。この内容が満たされたものを議事録(Minutes)と定義する。議事録はメールで平文にて作成し、保存のためCCに議事録保存目的アカウントを入れ、発信されなければならない。
  2. 会議主催者が、会議の成立または会議の流会を決めなければならない。
  3. 会議室や通信手段が会議開始時刻までに指定されていないか用意されていない時には、会議主催者の意思のいかんによらず、会議の流会としなければならない。

上記のルールを見て、面倒だと思うだろうか? もしかしたら、そう思うのかもしれない。けれど、これは今まで明文化されていなかったことを明文にしただけであり、明文にしているからこそ、変更することも可能であるということを意識してほしい。こういったルールを明文化しないと、自分ルールのようなものがはびこってしまう。